あの世と電話する方法

フィリップ・K・ディックの小説に、あの世だったか神の世界だったかと電話で話せる設定があった気がする。

普通に電話番号があの世にあって、いつでも通話できたら便利だと思う。

亡父に電話をかけて、子供の頃住んでいた家はどこにあったのか、とかを聞きたい。

いま毎日通っている道にあったはずだけど、それがどこで、どんな家だったのかを知りたい。

あの世の電話は、こちらの電話とは方式は違うのだろうか。

アナログ回線とかデジタル回線ではない方式があるのだろうか。

霊的な世界での通話というのはどういうことなのか。

魂は電話をできるのだろうか。

魂に発話ができるなら、それを聞き取ることはできるかもしれない。

でも、魂に発話がないなら、変換方式もないかも。

魂が発話できるかを知る方法はあるだろうか。

うーん、なさそう。

 

魂が発話できない、と前提して、可能な条件を作るとしたら。

人間であった時代に戻す、というのはあるかも。

時間を戻して、生存しているその時代に対して現在から電話してみる。

これなら、時間の問題だけにはなる。

あの世ではなくなっているけど。

 

Googleカレンダーには1000年とか9999年とか今生きている人が絶対に使わないデータ領域がある。

余っている、使われていない領域が、人が気づかない通信を可能にするということはないのだろうか。

 

少しずれるけど、未来からの通信を今生きている我々が受け取れていないのは変ではないのか。

どんな未来になっても、過去に対して通信ができないということになる。

もしくは、本当は容易に受け取れるのに、気づかない条件がありすぎるか。

 

気づかないというのは、この知覚の中では、極端に分散した何かに見えているということでもある。別の角度から見ると、そこに一貫した何かがある。

 

そこに何もなさそうに見える、ということが唯一認識できる。

幽霊が暗闇から現れるのは、見えなくて怖いというだけでなく、本当に何もないからでもあるのでは。何もなさそうな場所とかカテゴリーでないと意味が出てきてしまう。

 

後から意味付けするために、「誰かがここで亡くなった」というのは、夢の合理化みたいなものではないのか。

人に話すことができないから、そう話すけど、本当に見ているものはこれなのでは。

見たことないから知らないけど。