統合失調症が減るということとインターネットとオープンダイアローグとうつが増えること

統合失調症がどうも減っていて、逆にうつが増えているらしいという話を前に斎藤環さんがtwitterでしていたという話を書いた。その時はどうも減っているらしいね、という感覚確認ぐらいだったけど、その背景として統合失調症の人にはオープンな対話が効果を発揮するということがあるのかもしれない。それは「オープンダイアローグ」という方法で、薬なしで対話をするだけで統合失調症がやわらいだり治ったりする、という技法があるらしい。

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ポリフォニーというのは、多声音楽のこと。多数の旋律が同時的な絡み合いが音楽となる多声音楽を意味する。
そのように、異質な声、異質な発言があること、それらが接続されることが原則であり、“対話の目的は、合意に至ることではない”。
診断もしないし、家族システムがおかしいと糾弾もしない。
対話ができるだけ続くように配慮する。
“やりとりが新たな現実を作り出すようなシステムを目指して対話が続けられる”。

「オープンダイアローグ」が興味深いのは、統合失調症の治療に限定されるものではなく、われわれの日常的な対話のヒントにもなりえるということだ。

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そこでおこなわれるのは、まさに「開かれた対話」。輪になって座り、あらゆる発言が許容され、傾聴され、応答されることで会話をつなげていく。

すべての参加者は平等で、専門家が指示して患者が従う、といった上下関係はつくらない。

「対話こそが、迷宮から脱するための『アリアドネの糸』なのです」

「オープンダイアローグが目指すのは、精神病的な発話、幻聴や幻覚にとどまっている特異な体験に、共有可能な言語表現をもたらすことなのです」

「治療者は、問題についていかなる予断も持たずに、対話そのものが新たなアイディアや物語をもたらすことだけを願って対話に参加するのです」

オープンダイアローグの理論とその実践は、病気の治療法としてだけではなく、「言葉の力」に関心を持つすべての人に、何らかの刺激や示唆を与えてくれるはず。

斎藤氏が強調するのは、
「オープンダイアローグの理論は、ひとりのカリスマ的な理論家のナルシシズムに奉仕するためのものではない、ということです」。

つまり、関わってきた専門家たちが一緒に発展させてきたもので、セイックラ教授もあくまで自分はスポークスマンのひとりだという謙虚な立場を貫いていて、共著は出しても単著を出すことに対しては禁欲的なのだそう。

加えて、ケロプダス病院は、「スタッフがやめない職場」だそうです。医師も看護師も、全員が同じトレーニングを受けてセラピストになるので、妙な上下関係がなく、職種の壁もなく、スタッフひとりひとりの自立性が尊重されて、やりがいを感じられる職場なので、誰もやめたがらないんだとか。

こういうところにも、オープンダイアローグが成果を挙げている秘密がありそうです。

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と、いうことらしい。たぶんだけど、斎藤環さん的には「オープンダイアローグ」的な効果はインターネットでも得られるんじゃないかという仮説を持っているのではと思いました。

だけど、一方ではうつが増えるということは、精神病的な発話、幻聴や幻覚にとどまっている特異な体験を持っていない人、どちらかというとすでに他者の意見や、他者への配慮を感性として豊かに持っている人は、大量の文字情報が流れ込んでくる環境は、うつを悪化させることにもなるのかもしれない。

暴力の人類史」を読んでいたら、人類の共感性を小説が高めていったという一節があって、とてもとても興味深かった。それまで他の人の人生なんて想像もできなかったのに、小説が出版技術の進化で誰でも手に入れられるものになった途端に、思考に革命が起きたという・・・。これまで誰も同情しなかった貧しい人とか、冤罪で刑務所に入れられた人とか、そういう境遇に激しく共感して泣いたりすることができるようになったらしい。

それで思い出したのが、暴力性が低い国は大体においてうつの人が多いという話。殺人発生率が高い国とうつ発症が多い国をプロットすると逆相関している、というのを前に何かの記事を引用して書いていた気がする・・・。

 

共感性とうつは多分だけど関係があって、前にも書いたけど、他人のことを過剰に想像しすぎるというところから、感情の暴走が始まってうつになるんじゃないかという仮説的なことを思っています。

 「「ずるい人」が周りからいなくなる本 

他人がずるいという感覚があるということは、何か自分が被害者意識を持つことだから、それって何なのかを今一度考えなおしてみるのが、この本です。「どうして自分がこんな目に!」と感じたときは、視点が偏っていたり、視野が狭まっている可能性があります。

なので、周りの人はうまくやっているのに、自分はできていないという感覚があったり、自分はしっかりやっているのにみんながルールを守れてないと思ったりすることが良くある、という場合は読んでみたら良いかもしれないです。ちょっと癖のある本なんで、あんまり真に受け過ぎない方が良いかも。悪循環を一回止めるための、風邪薬みたいな本です

ストレスを感じたときのおすすめの本 - ororの日記

ここら辺りは、思いつきでしかない。

それぞれがどう繋がっているのかは良くわからない。もうちょっと考えないと。