全ての世界中の「中流」が深く傷ついている

 クルーグマンが激しく絶望している。世界の民主主義が次第に崩壊し、一様に民族主義的な政権がうまれていく。アメリカでもトランプが、保護主義的な主張を繰り返す、これはなぜか。なぜ世界は、第二次世界大戦前のブロック経済化のような形に向かおうとするのか。ここまで同じパターンが繰り返されるのは、避けられない構造があるからだとしか思えない的な絶望。

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クルーグマンのコラムは以下のような感じ。イタリアの政権交代EU離脱の現実味が高まるにつれて、今後の世界について最悪の事態もあり得るという見解に・・・。

どのような結果を迎えるのかは誰にもわからないが、欧州の他国の事情を見ると、いくつかの恐ろしい先例がある。ハンガリーは事実上、一党独裁国家となり、民族主義イデオロギーに支配されている。ポーランドも同じ道を進んでいるようだ。

 より緊密な経済と政治の統合を土台として、平和と民主主義、そして繁栄を目指した「欧州計画」。その長い取り組みの何が失敗だったのだろうか。すでに述べたように、単一通貨ユーロという大変な誤りによるところは大きい。ただ、一度もユーロ圏に加わらず、ほぼ無傷で経済危機を乗り越えたポーランドでも、同じように民主主義が崩壊しつつある。

・・・(エリートたちが)起きていることに向き合おうとしなかったことで、傷はさらに深まった。

・・・そして今、米国は、ハンガリーの与党に負けず劣らず、民主的な規範や法の支配をほとんど尊重しない政党によって統治されている。

上記の「起きていることに向き合おうとしなかった」というのが重要だと思う。誰に向き合わなかったのか、これはすでにマイケル・ムーアがトランプ当選前に指摘していたことだけど、それはつまり全ての世界中の「中流家庭」が深く傷つけられている、というたったこれだけのことだ。

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 難しい理論は、何もなくて、民主主義を採用している限り、資本主義と確実に対立するのはここだと思う。資本主義の勝者が生み出され、その資本が拡大することを止められない場合、民主的な主権者である「中流」階級が、資本蓄積が大きくなり始めると怒りだす。この繰り返しのパターンは止められない。善良な人々の心の中の正義感によって、民主主義そのものが破壊される。

 資本の偏りは、それだけで、不公平感覚を生んでしまう。それによって実際に損なわれているものがわずかでも、今の世界の状況が示すように嫉妬は資本家の予想を超えて爆発する。必ず、何かが正しくないという意識によって、独裁的で資本家を超える政治権力が万人に望まれて出現し、政権を掌握し、軍事力を他国へ誇示し、経済をブロック化し、そして貿易が停止される。貿易の停止によって起きる経済後退が、さらなる怒りを生み、戦争に繋がるだろう。

 そのためこのシステムは、民主主義か資本主義のどちらかか、両方で訂正が必要だ。

 民主主義の訂正は、政治権力に対する内部統制の仕組みを構築することによって多少は変えられるかもしれない。

 資本主義については、資本蓄積の結果を否定して訂正する仕組みが必要だ。それは税であり、中流階級への無制限の公的給付それこそベーシックインカムのようなものかもしれない。そしてもう一つの解決策が、バランスシートの状態そのものを政策目標にすることだ。年度毎の経済成長率や歳入/歳出を目標にするから、正しい結果が得られない。根本的には、人びとの価値観を規定しているスコアボードそのものを望ましい状態に持っていくことが良いことだと思う。それはつまりゲームのレベルデザインだ。

 ゲーム世界の満足感を損なわないことは、ゲーム運営者の当然の責務のはず。民主主義は、運営者自身にその世界をゆだねているはずだから、ゲームの仕組みを変えることも発案して実行して良いのでは。

 まだ完成してないけど、以下に前に書いたことをもう一度はっておいて、さらに考える。

 予測としては、デフレの発生確率の方が上がってきているのではないか、ということなのかも。もう少し考えてみないといけないかもしれないけど。信じられないことだけど、さらにもう一段階深いデフレに見舞われる可能性もないではない・・・。

 

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