全体主義の起源2 帝国主義

帝国主義が、国民国家と対立する概念というのが本当に面白い。

アフリカなどの植民地を純粋に拡張のための拡張のために、奪い合い、交換するようになると、帝国主義の始まりだと言える。

国民国家は、国民の合意のもとに成立する国家なので、違う国民をその統治下に置くことができない。占領すると速やかに、その土地の住民のナショナリズムを刺激することになる。

だから、帝国主義化は国民国家にとっては矛盾以外の何者でもない。

この矛盾を超えるためには、論理を超えた何かを導き出す必要があって、それを強引に進めたのが戦前の日本だったのかもしれない。

全体主義が蔓延する前までの世界については、それを想像することも難しくなっているというのが非常に興味深い。

対立しているのは、「膨張」のロジックと、国民国家の「アイデンティティ」。

 

アイデンティティを弱めに持っている国家、合衆国や中華人民共和国、ロシアほど、膨張のロジックとの矛盾を感じにくいというのはあるのかもしれない。国民国家としての完成度が高ければ高いほど、膨張のロジックを運用できないということなのかも。