『スターウォーズ 最後のジェダイ』を見てつまらなかったというか激しい心理的葛藤にみまわれた

スターウォーズ 最後のジェダイ』皆さま、ご覧になられましたでしょうか。

私は、生まれて初めてスターウォーズシリーズを見てとても辛くなる、という体験をして動揺しています。見れば見るほど落ち込んでいくというか。何でしょうか。

つまらない、という説もあるんですが、つまらないというよりは、心がつらい。

まず、人が死に過ぎてつらいです。『ローグワン』の時も、登場人物が死に過ぎて辛かったのですけど。最近のスターウォーズ、簡単に人が死に過ぎじゃないだろうか。前からこんなでしたっけ・・・。冒頭の爆撃機の特攻とか辛すぎるし、それが崇高な死でもないし、直後で否定すらされるし、何なんだ。しかも特攻は良くないと言われてるのに、後で提督が自艦をハイパースペースに突入させて特攻するし。何なの。人命を尊重したいのか、それとも正義のためなら死んでもいい的なものなのか。どんどん混乱するし、つらい。しんでほしくない。

戦争シーンも全体的にリアリティが増していてつらい。展開は雑なのに、描写が細かくなっていて戦争を思わせる描写になっているのがつらい。無駄に塹壕とか描かなくてもいいのに。しかも、何で塩田に塹壕掘るんだろう・・・。絶対しぬじゃん。基地の内側から攻撃するとかはないの・・・。戦争の悲惨さを描きたいのかもしれないけど、何かスターウォーズ世界でやられるととてもつらい。見ていられない。

あと、カイロ・レンがつらい。何でダースベイダーは見てられるのに、レンはダメなのか。前作はまだ迷いがなくて良かったけど、迷いまくっている悪役ほど見ていてつらいものはないということが良く分かった。ムスカ大佐を見習ってほしい。悪は一切の葛藤を超越したサイコパスの天才でないといけないので、こんなに人間性のある悪は、ちょっとだめ。レンがレイに手を差し伸べるシーンは、皇兄ナムリスがクシャナと一緒に暁の帝国を作ろうと言うシーンとそっくりだけど、全然違う。

ナムリスには迷いというものが全くないけど、今回のカイロ・レンは、レイに出会って下心がありすぎてダメだ。悪だったら、もっとストレートに奪いにいかないと。何か下僕感があってつらすぎる。絶対的な自信を持って俺に惚れるだろ、ぐらいでないとこっちが落ち込むんですわ。

そして、ルークもつらい。何だこれ。甥の教育に失敗したら人生おわたみたいな落ち込み方。そんなに自分の人生に期待しすぎるなよ・・・、そこまで重圧に感じさせてごめん、こっちもそんなつもりでジェダイにあこがれてたわけじゃないんだ、とどんどん何か自分のせいで、ルークが落ち込んだみたいな転移がきてつらくなってくる。あれ、子どものころのあこがれが罪だったのかな、ごめんみたいな。どんどんつらい気持ちになってくる。

映画的に変なところがいっぱいある、という指摘はたくさん読んだ。だけど、それはあんまりどうでも良くて、スターウォーズは、確かに家族のドラマが中軸にあるファンタジーなんだけど、これだとバランスが悪すぎるのでは、ということが気になってつらい。カイロ・レンに父親を殺させたりとか、物語のコマとして登場人物を扱っている感がする。何か、やさしさがないというか。フォースの覚醒のときは、それほど気にならなかったけど、もう今回のレベルになると、心が拒絶する感じ。

特に、つらかったのが、レイがルークに、何で直接話しに行かないの、行かないなら私がいく、と言うシーン。しんどかった。まるで、自分に言われているような気がした。レイに本当にごめんなさいと謝りたくなった。

しかも、そのあと、ルークが意を決して行ったと思ったのに、全部遠隔から残像飛ばしているだけで実は完全にひきこもりのまま死ぬとかも、本当につらい。心が張り裂けそう。ぼくは昔引き込もりだったから、これ、いま、こういう問題で苦しんでいる人がみたら絶望するんじゃないかなとすら思った。わかんないけど。きっとレイみたいな女の子のことは嫌いになるんじゃないかな。嫌いになるとこまではいかなかったけど。少し苦手だなとは思ったな・・・。でもレイは正しいし、どうしたらいいんだ。

制作者の意図がどこにあるかはわかんないけど、全体にひきこもりの男子から見た世界のまんまな感じがして、非常につらいのです。そんな風に思う人があんまりいないから、ぼくだけの感想なのかもしれないけど。スターウォーズつらい。

と思ったら、ほぼおんなじ感想があった!! すでに「フォースの覚醒」のときから同じ感想があったんですね。すいません、「最後のジェダイ」になるまで気づかなかった。

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悲しいのが、旧三部作での数々の戦いや勝利にも関わらず、それ以降のルークやレイア、ハン・ソロの人生が、基本的には惨めであることを本作が決定付けていることなのです。

「惨め(miserable)」という言葉がぴったりハマると僕は思っています。ハン・ソロとレイアなんて、彼らの子どもがダークサイドに堕ちてしまって、これがトラウマになって別々に生きることになっていた。ルークはジェダイ復活に失敗しているし、多くの人が死んでいくなか、甥っ子がダークサイドに堕ちてしまうのを防ぐことができなかった。それが原因でルークは自ら長年姿を消してしまうことになる。長年親しんできた私たちのヒーローたちは苦悩とともに孤独に生きていたことになるのです。

そうなんですよ! ギズモードUSの、Katharine Trendacostaに、最大の賛辞を贈りたいね!

そういうことです。これだと、本当にルークは何だったんだということになるし、こんなのは耐えがたい・・・。いや、ルーカスの心象風景的には、そうやってシリーズが閉ざされていくのは歪んだ勝利感があるのかもしれないけど、「子どもに夢をあたえる神話」つくりたいっていう初期の志はどこに!!!!!!! と叫びたいんですよ。

これだと夢も希望もないじゃん。エピソード9ですごいことになるのかもしれないけど。それが叶わなかったら、ぼくの中ではスターウォーズは、不幸なストーリーとしてもう見られないものになってしまうと思うと、それが哀しくてつらいです。大切なものが失われる感じです。ああつらい。 

つらつら考えると、きっと、こういう苦しみもすべて、きたるべき民主化されたフォースのための産みの苦しみだったんだ、みたいなことで片づける予定なのだと思うけど、そういう考え方そのものがつらい感じがする。

大義を奉じるみたいな考え方になってないか。フォースなんて何となく作られた言葉でしかないのに、それを誰もが持っているものするとか、のために色んな人が苦しんだり死んだりするのを見たいだろうか。

仏教の三世の話をこの前聞いたけど、過去世・現世・未来世は繋がっていて、いまこの瞬間にすることが一秒先以降のずっと続く未来世につながるから、今をちゃんと生きようぜ、的なメッセージなんだそうです。変えられない過去にこだわりすぎなエピソード8には、絶望を感じるけど、きっと来るだろうエピソード10,11,12の未来の新シリーズには、この反省点を踏まえて、過去とかがわからなくなる数百年後とかのレベルで時系列を離してしまってほしいです。

追記ですが、以下の感想がいちばんしっくりきた。長々かいてごめんなさい。サンスティーンの感想で良いです。この通りです。

cruel.hatenablog.com