コーエーテクモホールディングスの決算から見える「投資ファンド+ゲーム開発」企業の実態(続)

 コーエーテクモホールディングスの過去記載記事の2年後を検証する。

 ↓二年前の記事。
 ・コーエーテクモホールディングスの決算から見える「投資ファンド+ゲーム開発」企業の実態

[2013年の固定資産額]

  固定資産635億円

  ・投資有価証券 453億円(71.3%)

  ・無形固定資産  27億円( 4.2%)

  ・有形固定資産 142億円(22.3%)

 という、有価投資証券への偏りぶり。を指摘したのだが、これが2年を経てどう変わったか。

[2014年の固定資産]

  固定資産753億円

  ・投資有価証券 569億円(75.5%)

  ・無形固定資産  13.6億円(1.8%)

  ・有形固定資産 160億円(21.2%)

[2015年の固定資産]

  固定資産882億円

  ・投資有価証券 659億円(74.7%)

  ・無形固定資産  8.1億円(0.9%)

  ・有形固定資産 208億円(23.5%)

と、いうわけで、日本株式市場の好調により有価証券の時価が上昇したためか、ほぼ比率は変化していない。その中で、注目すべきは、不動産購入の加速である。2015年度に賃貸用不動産として43億94百万円を購入している。これが、有形固定資産額の増加の原因だ。実に、純利益の94億34百万円の半分ほどを不動産につぎ込み始めている。また、同時期の開発用機材の購入費用が、1億42百万円であることを見ると、経費の相変わらずの低さがすばらしい。

 純資産額の推移は、

 ・2012年の純資産額 704億円 (1株BPS 811.56円)
 ・2013年の純資産額 816億円 (1株BPS 939.52円) 成長率 15.7%
 ・2014年の純資産額 887億円 (1株BPS 1020.7円) 成長率  8.6% 
 ・2015年の純資産額 1006億円 (1株BPS 1149.11円) 成長率 12.5%

 という成長率である。

 コーエーテクモHDの場合、純利益の推移というよりは、純資産の推移を見るのが、業態にあっていると考えられる。ファンド的な機能を果たしているため、本業と投資部門の業績を一体として見た方が良い。不動産購入にシフトしていることが、今後正しい成果に繋がるかが注目だろう。

 また、今期55円の配当金を予定しているが、これは、かつて600円台だった株価から見ると配当利回りが、8.6%という高率であり、現時点の株価でも、2.59%である。

 固定資産が生み出している収益(営業外収益−営業外費用)は、

 ・2013年 23億円
 ・2014年 36億円
 ・2015年 39億円

 となっている。
 この収益の源となっている有価証券の投資内容については、有価証券報告書に詳しく記載されている。(右記は前々期のもの)http://www.koeitecmo.co.jp/php/pdf/ird2_20140701.pdf の60pに詳しくある。

 ちなみに、コスト面で見ると、

[販管費及び一般管理費]が、

 ・2013年 77億31百万円
 ・2014年 90億10百万円
 ・2015年 74億50百万円

 と、削減著しいことが、収益性の向上に寄与していることが見て取れる。
 このコスト削減16億円と、売り上げの増加が今期の収益の向上に繋がっている。