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政府とかグローバル企業といった大きい組織は弱体化して、人々は地域にひきこもるようになる、で、自己実現は弱体化すると思う。

 アメリカの軍事力が低下して、中国の軍事力が強くなると、日本やアジア圏の政府は今よりも力が弱くなる。グローバル企業は、アメリカの世界的な覇権により沿って成長してきたから、相対的に力が下がっていく。

 中国は地域への支配力を強化するけど、地域の盟主になれるほど強力ではないから、その間は、グローバル企業が弱体化した隙間で、地域のつながりを活かした企業や個人事業者が活躍する余地が生まれる。

 人々は、政府が指し示す方向で経済的な恩恵が受けられないことを見て取って不安になり、より地域的で互助的な組織に回帰するようになる。

 だから、時代のキーワードは、ますます小集団やコミニティに関するものになっていくだろう。流れはますますま「自己実現→友情・家族」になっていく。

 もし、多くの人にうけるコンセプトを考えるなら、この「安心への強い欲望」に応えないといけない。友情のキーコンセプトは、「逆境にあっても絶対に見捨てないという約束」だ。友人と友人は、利害関係を越えて相手のために尽くすという前提があるので、これは結構重たい。ソクラテス以来の難問で、これが賭け金となる時代というのは、世の中にそれだけ「役に立つか立たないか」という評価軸が確立されてきているという証でもあるだろう。

 「お前を絶対に見捨てない」というメッセージをお互いに共有する、これはほぼ結婚と同じことを言っていて、現代でこういうことを考えている人はまだ少ないと思う。桃園の誓いみたいに、死ぬときは同じ日同じ時間だ、みたいな。だけど、これがこれからは、次第に増えてくる。コミニティが大事、地域が大事、みんなで飲み会楽しいね、という段階は、まだ個人主義の時代。次第に会社も、国も頼れないとなってくると、お互いに頼り合うことで安心したい、その安心の抽象化が進むと、次第に期待は「お前を絶対に見てない」とお互いに思うことになっていく。だんだんそれは、血の契りみたいな約束のカタチ化・儀式化を伴うようになっていくことでもあるだろう。

 これまでは、「本当の自分」が卓越性の賭け金だったけど、これからは、「無条件の忠誠」を平等で対等な人同士が結ぶことが、個人的な卓越性の証になる時代だ。自己実現も不可能な目標だからこそ、力を持つけれど、友情も基本的には不可能へのチャレンジだ。

 世界の支配力が流動的になり、より個人的な信頼で結ばれた人々の評判が重要になり、その評判は、どんどん能力ではなく「誠実さ」や「友情に対する忠誠心」の評価になっていく。一方で、こうした事情を利用して、一切この卓越性を歯牙にかけない合理的な行動をとる集団も現れるだろう。

 真のグローバル企業として勝利を収めるのは、友情を利用して人々を争わせ、その死体を食らうような行動が平気でとれる企業で、たぶんそれは、マイクロクレジット的なコミニティに恩恵を与えそうな装いをもった金融業者の台頭に繋がるだろう。

 それらへのカウンターも現れることになるが、最初の勝者はコミニティをエンパワーするブランドの基に次第に優位性を暴力的に利用する者として立ち現れるに違いない。そこから、新しい戦いが始まるけど、それまでは時間がかかるだろう。

 

 企業のブランドメッセージとして「世界を変える」系メッセージを使うことが出来たのは、「自己実現」が浸透しているからで、自身が神であれば世界を再創造することはたやすいという想像がある。だけど、これからは、「世界を変える」系はどらかというとNGで、「互いの価値を認め合い、相手のために出来ることをしようとするコミニティ」に所属していることがステータスとして、君臨することになる。

 そういう世界では、かつて仏教が最強だった時代のように、コミニティが他者を説得し改宗させて呑み込んでいくプロセスが重要になっていく。なぜなら、世界を変えることはこの良きコミニティが世界そのものになっていくことなのだから。

 かくして、「世界を変える」系メッセージと自己実現は、弱体化してコミニティ全盛時代が来ることになる。コミニティを振りかざし、その絶対的な善を主張する人々が支持されて権力を獲得することになる。

 ノウハウの基本的な形は、宗教組織に、どんどん近付いてくだろう。