統計学と行動ファイナンス「ビック・データで株価を読む」

・「ビック・データで株価を読む」
 株価の季節性や、非合理的な価格の推移をデータから検証する。その背景には人間の収益領域と損失領域での認知の非対称性がある。その理論をプロスペクト理論という。

 株価の季節性、1月〜6月までは収益性が高いが、7月〜12月は低いという結果が出ている。理由としては、季節性欝が影響している可能性がある。天候特に、日照時間の長短が影響する。緯度が高いほど収益性の良い時期が短くなる。イギリスやフランスでは5月までで上昇期が終わる。17世紀から変わらずにこの傾向は続いている。
 人間の損失回避の大原理として「プロスペクト理論」がある。
人間は100万円儲かる喜びと、40万円損する痛みが同じ。支払ってしまえば結果的に得られる期待値が高いのに、少しでも支払わないですむ可能性があれば、期待値の低い側に賭け続けてしまうという。(例えば、別のページに載っていた例だけど・A)確実に80万円得られるか、B)100万円得られるか15%の確率でゼロ円しかもらえないか。 ・A)確実に80万円支払うか、bB)100万円支払うか15%の確率でゼロですむか。 どっちも期待値は80万円対85万円だから、合理的に計算すれば(これが繰り返される条件とすれば)、前者はBで、後者はAが正しいけど、普通は逆を選ぶ。)国債を返したくないという集団心理とか、戦争にもしかしたら万が一でも勝つ可能性があるんじゃないかみたいなもの。下落する過程で株式を持ち続けてしまう「塩漬け」という行動もそれを示している。反対に上昇し始めたらすぐに売ってしまう。だから、株価は「心配の壁をよじのぼる」。下落するときは、崖を落ちるように急落する。

 地震などのネガティブ情報が出てもすぐには株価に反映されない。数日経つと評価が定まって織り込まれ始める。

 注目されている企業の株はポジティブな情報が出ても上がりにくい。注目度の低い銘柄の方がインパクトが大きい。

 サブプライムショックの前にニュース記事からポジティブな言葉が減り始めていて、明確な兆候が出ていた。言葉がネガティブになれば、株価は遅れて下がり始める。ポジティブな言葉が増えると遅れて上がり始める。

 ※損失領域にある株式の評価がゆがみがちであることについては、反省しなくてはいけないと思う。どう考えても、自分に判断を委ねると、損失領域で正確な判断が下せているとは思えない。ストーリーによって判断を変えていないのか、それとも心理的に判断を変えていないのか、判然としない場合があるのではないか・・・。