アベノミクスで株価はどうなるか

アベノミクスの今後を検討し、今、日本株を購入するべきかを判断するために、過去にさかのぼって調べてみました。
あくまで中間的にですが、「もし現在が、1930年代と同じだったとしたら・・・」、というシミュレーションで今後の株価指数の動向を検討いたします。

結論としては、もし今が、高橋是清蔵相時代のインフレ政策期であり、この後に戦争とインフレが控えているとしたら、2015年以降は日本株を購入することを止めるべき、です。
ただし、これは最も悲観的な予測になります、実際はもっと中間的な結果になると思いますが、ディフェンシブな投資家は地政学的なリスクの低い日本以外のどこかを選択した方が良いかもしれません。
(投資判断に対して何の保証も当ブログでは出来ませんので悪しからず・・・。)

・今までの調査経過
http://d.hatena.ne.jp/oror/20140429/1398757726
http://d.hatena.ne.jp/oror/20140503/1399106103
http://d.hatena.ne.jp/oror/20140504/1399207526


まず、1930年代の出来事として最も重要であり、現政権の安部首相と麻生蔵相が参考にしていると言われる、高橋是清蔵相時代の1931年〜の株価の動向に注目します。高橋是清は当時デフレ下にあった日本経済を円安と積極財政策インフレ政策により、復活させた、と言われています。



※参照 1) 完結昭和国勢総覧 第二巻 12-参考11 終戦前の株価指数
2) 「物価の文化史事典」 総務省統計局「消費者物価指数」 大川一司「長期経済統計・物価」
3) 「物価の文化史事典」 日本銀行調査統計局

1932年〜1934年までの3年間は、高橋蔵相の政策下消費者物価指数もマイナスから、1〜3.1%の弱いインフレ率に変化し、株価も順調に上昇しました。しかし、1937年以降は積極財政が加速しすぎたためインフレ率の向上が株式投資の収益を下げ始めます。

株価上昇率と消費者物価指数および、卸売物価指数の推移は下記表でご覧ください。注目するべきは、デフレ脱却から高インフレ時代に至るまでのタイムスケールの短さです。物価が安定推移したのは5年間しかなく、そのうち株式投資によって高い収益が得られていたのは3年間だけなのです。

実に、満州事変の起きた1931年当時に株を購入していれば、1934年の高値で131%近い収益を得られていた計算となります。
しかも、この時期は、低インフレであったため、実質収益もインフレによって減価させられることはありませんでした。

しかし、以降1935年からは、日本株の収益性に陰りが見えるようになります。
下記は、各年度毎の株価指数の上昇率と、そこからそれぞれ消費者物価指数上昇率、および卸売物価指数上昇率を差し引いた「実質」株価上昇率です。

1937年以降は、株価指数はプラスであるもののインフレ率が高く、実質収益が押し下げられています。これは、2・26事件以降、政府支出が激増し、高インフレが見られるようになったためです。

そして、第二次世界大戦開戦となり、戦中戦後のハイパーインフレ期に突入するに至ります。
このような展開が再び見られるとは考えにくいとはいえ、7〜8%の高インフレ期に日本経済が突入した場合、株式による利益を得ることが難しい時期が訪れるかもしれません。

結論としては、デフレからの転換により一時的に日本株が3〜4年程度高収益化したとしても、その後、積極財政がコントロールできない政治的条件が重なった場合は、高インフレ期に突入し株式投資の収益が損なわれる可能性があります。2015年以降の日本株投資には注意を要するのではないかと考えます。