第3部 モチベーション:契約、情報とインセンティブ 組織の経済学 第5章 限定合理性と私的情報

・完備契約を達成できない要因がいくつかある。

・完備契約というのは、想定される事態が全てお互いに認識されていて、その場合どのように行動するかが全て決められている状態。これは考えられないけれど、その状態から何ができないから完備契約にならないのかを考える。

・そもそも、人は限定的にしか合理的に行動できない。つまり限定合理性がある。

・完備契約ではないから、効率的な行動からは必ず人は離れていく。例えば組合労働者に依存した方が、収穫は最大化することがわかっていても労働者がストライキを起こす可能性を恐れて雇い主は家族や親族でできる範囲に作付けを制限するかもしれない。

・私的情報(プライベート情報)がある場合も完備契約にならない。中古車などは、壊れていることを前の持ち主は知っている可能性があるが、買い手はそれを完全に知ることはできない。そのため、取引したら利益が大幅に増えそうな場合でも、取引が起きないことが多くある。