対話のことば オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得を読んだ。斎藤環さんのオープンダイアローグの本より、簡単なので、復習に最適かも。環さんの本だととっても難しく書かれていたような気がして、どう取り組んだらいいのかはわからなかったけど、これを読むとなるほど、自分でもできるかも、という気分になって良かった。すぐ読み終わる。興味がある人は読むと良いかも!
オープンダイアローグの本質を
「体験している世界 を内側から感じる」、「多様な声が生じる場にする」、「新たな理解を一緒に生み出す」
としてまとめています。
それぞれが構造化されていて、以下のようになっている。これ一つ一つに絵がついていて、どう進めるべきか簡単にまとめの文章がついています。だいたいわかりやすく書いてある。
1. 体験している世界
- ひとりの人として
- じっくり聴く
- そのままの言葉
- 開かれた質問
- 言葉にする時間
- 語りへの応答
- 内側から捉える
- 感情の通路
- これまでへの敬意
2. 多様な声
- 関係する人
- 対話の支援チーム
- 輪になる
- 全員の発言
- ゆったりとしたペース
- 応答の連鎖
- 小さなサイン
- 気持ちの共鳴
- リフレクティングトーク
3. 新たな理解
- 発生時の立ち上げ
- 連続的な実施
- 一貫したかかわり
- それぞれの認識
- 混沌とした状態
- 意味の変容
- 一緒に見出す
- 広がりのある文脈
- 未来への仲間
三つずつのパーツに分かれていて、それぞれの小さな項目のうちできていないもの3,4個を意識して対話に挑んで改善するという感じで運用すると良いらしい。全部で30項目もあるのか!と思うけど、細かくパーツ分けするところがポイントらしく、ノウハウを細分化しつつも適度に抽象度があって自由にできるくらいの塩梅でまとめておく、のがパターン・ランゲージの手法とのこと。理念とマニュアルの間にあるような領域がパターン・ランゲージでカバーできるらしい。おうおうにして現場の職人技でカバーされてしまう暗黙知な領域をこうして明るみにだして、適度に個人の裁量も残しつつ、本質的なことを体得できるようにしたいという狙い。素晴らしい!とおもいました。
この本を読んで、そんなパターン・ランゲージという考え方とか取り組みがあるというのを初めて知ったのでとても良かった。こういう問題に対して、マニュアル以外の解決策を考えるという観点が素晴らしい。良い!
何となくパワポの講演資料だけ残しておいてしゃべり方は個人の自由に任せる的な感じは色んな現場にありそう。なので、手法として納得感があった。
また、この3個ずつにわかれている領域を自分でどれくらいできているかを評価してポイント化して、チャートを描くと苦手な領域がわかるというのも実践的で良い感じがした。評価は主観で良い、というのも簡単な感じで良い。
例えば、「多様な声」の一つ目の領域で、
- 関係する人 はできていないから0点
- 対話の支援チーム はできていないから0点
- 輪になる はできているから1点
だとしたら、この領域は1点になる。これを3つずつ全部の項目でやってチャートにしてでこぼこを見る。
だいたい、どの項目も大項目の後半が難しい感じがするので、そのあたりを中心に意識して練習してみると面白いかもしれない。あと、思うのはこういうのは練習しようとしても、なかなかできないものなので、練習の場みたいなのがあると良いかもしれない。稽古場的に何度も繰り返せる場があると、自然とうまくなり、その人が他人にも伝えたくなって良いのではないか。
ただ、一番最後の方の「広がりのある文脈」が結構難しい感じがした。ほかは、難しいけど頑張ってやろうという感じだけど、ここだけ、結構成り行きに任せられているので、イメージがついていない。やってみたらわかるのかもしれないけど。
でも、まあ面白いし、取り組みのイメージがつくので良い感じの本だった!