近未来に何が起きるのかをテーマにワークショップを世界で開いて専門家の意見を集めたという本。12のテーマが設定されている。
1・人口が爆発的に増加する
食料廃棄を減らすことで食糧の供給に対処できるのではないか。また牛肉の消費量は減らすべき。進む都市化に対して都市プランナーの役割は大きい。
2・資源が枯渇する
化石燃料からの脱却。安全な水の確保、水の再利用などは必要。銀と亜鉛は2032年に、銅は2045年ごろに、チタンは2060年ごろに枯渇。リン肥料の不足と価格の高騰は2030年ごろにやってくる。これらの資源の解決めどはたっていない。
3・環境汚染に歯止めがかからなくなる
大気汚染への早急な対応が必要。また海洋汚染では2050年ごろにプラスチックの廃棄に対応できていなければ問題になるだろう。地球温暖化については根本的な対策はない。
4・移民は悪だ
移民政策が成功している国は少ない。カナダは少ない成功例だが他の国では増加するニーズに対して感情的な排斥論が台頭するばかりだ。
5・仕事が不足する
老年者が長く働き続けることで若年層の雇用が不足するだろう。技術の進化も雇用を奪う可能性がある。
6・女性の雇用水準の向上が、多くの問題を解決する
貧困からの離脱や、人口の抑制、健康と教育の普及、そして女性の労働参加による経済成長など、良い面がたくさんある。
7・技術が大きな問題を解決する
医療、エネルギー、輸送、食料生産などの面で技術は力になるかもしれない。だけど、地球温暖化や肥満などに対しては有効な技術的な手段はない。政府間の協定や保険会社の商品が解決するかもしれないけど。
8・答えは太陽エネルギーにある
太陽光エネルギーの普及は、ワット数あたりの発電コストの低減と規模の経済にかかっている。しかし、各国の補助金や技術革新のスピード・投資の持続には不確定性がある。
9・定年について考え直す必要がある
年金財源が寿命の延びに追いつかない。つまり定年を延ばす必要に多くの国が迫られるだろう。
10・医療費は増大の一途をたどる
対策としては予防医療の充実や、今までの常識を疑った簡素な医療によって劇的にコストを下げた手術など(インドでは西洋の一流病院とそん色のない医療を、わずか2%の治療費で行う)。
11・アジアの世紀がはじまる
インドか中国の時代が始まるけどどっちなのはわからない。だが、2025年から35年までに人民元が世界の基軸通貨になることはないだろう。2045年から2055年ごろまではドルがいまの地位を維持するだろう。その後に、本格的なアジアの時代が22世紀を目指して始まることになる。
12・GDP成長率は、社会の発展を評価する最適な尺度である
資本を多面的にとらえて企業の業績を評価する方法を主流にするという声が大きくなっていくのではないか。