新興宗教の背景がわりと分かる「現代オカルトの根源 霊性進化論の光と闇」

 「現代オカルトの根源 霊性進化論の光と闇」は、現代のオカルトや新興宗教の背景として、神智学があるということを指摘する良書。通史的にずばっと理解できるのでとても良い。ちなみに言及されてないけど、フィリップ・K・ディックなんかのスピリチュリアズム的側面も、ここに当てはまりまくりなので、理解にはとても良いかも。

 本書で示されているフレームは、大体のオカルトは以下のような図式で説明可能、というもの。
 「人間の歴史は全体として、霊性を進化させる歩みとして理解されるが、しかし他方、その道を転落し、「獣人」へと退化・堕落してしまう霊魂も存在する。人間の存在を、霊性の進化と退化という二元論によって捉えようするこの図式を、本書では「霊性進化論」と称する」

 霊性の「進化(evolution)」という概念を最初に提唱したのは神智学の始祖、ブラヴァツキー夫人である。その流れは、チャールズ・リードビーターや、シュタイナー教育で知られるルドルフ・シュタイナー、アーリア人を神人として位置付けたアリオゾフィなどに引き継がれる。アリオゾフィからの流れがヒトラーなどに引き継がれる。

 そのあと、米英でポップ・オカルティズムとして展開され、超古代史のエドガー・ケイシー、UFOのジョージ・アダムスキー、マヤ歴のホゼ・アグエイアス、爬虫類人陰謀論のデーヴィッド・アイクなどが影響力を持つ。

 日本では三浦関造により神智学系ヨーガが輸入され、本山博、阿含宗桐山靖雄が現れ、オウム真理教や、幸福の科学などに継承されていった。