ビットコイン急騰を受けて、仮想通貨と通貨の本質を考えてみる

 気づけば、ビットコイン300$台を突破していて、ちょっと驚いた。
 通貨とは何か、貨幣とは何かという問題に、ビットコインはもう答えを出しているかもしれません。

 ということを書こうと思うけど、まずは、紀要のリンクから。
 九州大学留学センター紀要「インフレ課税について」p.30 http://www.isc.kyushu-u.ac.jp/center/f/kiyou/bulletin_21.pdf#page=31
 のソマリアハイパーインフレの話が参考になる。「しかし、より最近の研究に即した貨幣慣習説によれば、貨幣の存在に国家は必要ない。実際、それを傍証する様々なエピソードがある。まず、Andolfatto は、1991年に国家が破綻したソマリアにおいて、崩壊した中央銀行が発行した通貨が依然として流通しているエピソードを紹介している。彼は、通貨が価値を失わないのは新規発行が行われず流通量が安定しているからだろうと推測している。紙幣は摩耗しやすいので、かなりのスピードで流通量が減っていく。そこで、実際には、偽造がしばしば行われたが、それでも貨幣価値はほとんど損なわれなかったそうである。」

 ビットコインと同じですね。

 「資本の世界史」でも同様のコメントがアリストテレスから引用されている。
  

 p.126「お金の価値は、異なったモノを互いに比べられるにするのに役立つ社会の慣習にもとづくと言います。「したがって、そのための交換の対象は、すべて何らかの仕方で比較可能なものでなければならない。まさにこのために貨幣は導入されたのであり、これがある仕方で中間のものとなっているのである。なぜなら、貨幣はすべてのものを計り、したがって超過と不足を計り、何足の靴が、家や食料と等しいかを計るからである。…だからこそ、貨幣こそ、取り決めによって必要のいわば代替物とされたものなのである。そして、このために『貨幣』(ノミマス)という名前をもつのである。すなわち、貨幣の存在は自然本性によるものではなく、『法』(ノモス)の取り決めによるものであって、これを改鋳するのも、無効にするのもわれわれ次第だからである。」
 小アジアから出土した硬貨がこの見方を裏付ける。硬貨はどれも同じ刻印がなされていたため、明らかに同じ価値であったはずが、それぞれに含まれる金の量があまりにもばらばらだった。つまり、金であるかどうかではなく、硬貨であると認定されていることだけが大切だったのだ。

 これもまた、ビットコインと同じですね。