安倍政権のポイント還元政策は、貨幣を取り替えることを狙っているのかも

政府が消費税増税の対策として導入をするポイント還元制度が減税に使われるというのは結構すごいアイデアだなと思った。

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と、言うのは、何かの小説で意図的に貨幣の価値を貶める犯罪をしてキャッシュレスな新通貨の導入を図るみたいな話を読んだことがあるけど、そんな感じで、このまま消費税を増税しながら政府発行のポイントで還元し続けると、日本円が政府に吸収されて、代わりに支給される利用期間が限定されたりとかの機能もつけられる仮想通貨っぽいポイントが日本人の生活を支配する通貨に次第に成り代わっていく。

そうすると、この「政府発行ポイント」をどのように発行するか、どのように消費を促進させるかが、全て政府の意のままになるし、債務不安で信用を毀損するかもしれない日本円は全て日本政府が回収して日本銀行に返ししまうこともできる。

で、政府は自分でポイントを発行して、自分でポイントによって支払う、例えば景気対策で巨大ダムを建ててもその支払いは日本円でするのだけど、税率が高いので結果国民は支払われた給与の大半をすぐに日本政府に支払うような感じになる。

代わりに国民はどんどん政府発行ポイントをもらうのだけど、色々な機能制約をすれば、政府は破綻を避けつつも望ましい状態に国民を誘導できる。通貨が多すぎてデフレになりそうな時は適当に消費可能期間を短くすれば消費されていい感じに価格が上がるし、インフレになりそうな時はポイント発行を絞りつつ消費可能期間を伸ばしていって、貯金ニーズに応えていく。期間の制約だけではなく、消費して欲しいものにポイントをつけたり、ふるさと納税みたいに特定の地域を優遇したりも自在にできるようになる。なんなら、ガチャ的な要素を作ることすらできる。

ただ、ここまで考えて思ったけど、そんなに制約されたり誘導されたりするポイントならそんなに求められないから、合理的な人は結局日本円じゃない外国通貨にどんどん変えていってしまうか、別の資産の購入に代えていってしまうな・・・。あるいは、消費税がそれほど負担にならない高所得者とか企業に有利になっていくような気もする。つまり格差は拡大するかも。ポイントが良いと思う人と、その価値制約が実は、非合理的だなと思う人とで対応が分かれそう。

そして、価値の変動を嫌う人たちによって、より激しく日本円が退蔵されてしまうかもしれない。使うと消費税で減るからずっと持っていようってなって。

で、この日本円退蔵の結果として、国内で取引に使われる日本円が極端に減っていってポイントだけはすごい速さで用いられるようになり、主要通貨はポイントです、みたいな世界になる。

そうすると、ポイントと他国通貨の変換レートとかも問題になってくる。直接の他国通貨との交換は禁止されるかもしれないけど。

でも、例えば換金制の高い金とか銀をポイントで購入して、それをドルで売れば交換はできる訳で、実質的には交換レートが出現するよね・・・。で、その時に、このポイントはどう評価されるのか・・・。自由度が下がっている通貨に対して世界はどう評価をするのだろうか。普通に低評価をするのか。

また、そもそも外国からの旅行者は国内でどう買い物をするのだろうか。ポイントに変換するのかな・・・。だとすると、外国通貨→ポイントの変換公式レートと、裏レートみたいのもできてしまいそう・・・。

色々考えると、なんだか不便な国になんとなくなりそうなので、これで実質的に貨幣の価値を切り下げていくことで、負債も削減して国内の労働対価も下げていってみたいなことができる、というのを狙っているのかな。