住宅ローンを組むと金利上昇時に儲かるかどうかを考えた

住宅ローンを低金利下で組むと、金利上昇がもし起きれば投資効果が高いという説があるので、それを検証してみた。ゴールデンウイークだし、子どもは熱が出ているし、久しぶりにエクセルと向き合ってみたくなったので・・・。

結論から言うと、金利が大幅に上昇すると予想するのであれば今すぐにローンを組んだ方が良いと思う。もはや物件の価格はあまり問題ではない。ただ、物件が大幅に値下がりするリスクがあると感じるのであれば可能な限り値切った方が良いとは思う。

3150万円を借りて35年の固定金利で返済した場合を、元利均等払いで検証した。金利が1%上がるごとに総支払額が約700万円くらい増えていく。もし、1.35%で固定ローンだったら3954万円の支払額が、2%上昇した3.35%になっただけで、5353万円に跳ね上がる。もう多少の物件の値下がりを待つとか問題ではなくなる水準だ・・・。

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これを、利息だけの金額のグラフにしてみるとこうなる。これは元利均等払いなので、差が元金均等払いよりも大きくなることに注意が必要だが、これだけの差になる・・・。また注目なのが、1.35%と0.8%でもかなりの差額になることだ。

1.35%の場合の金利総額は、804万円だけど、0.8%だと462万円。物件価格が3000万円台であれば、この差額だけで価格が10%下がったのと同じことになる。もし物件価格を下げるのであれば利息を0.5%ポイントさげることに血道をあげた方が効果的かもしれない。あるいは、両方とも下げるかだ。

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さらに、月当たりの支払い額も比較する。月当たりにすると、現在賃貸に住んでいる場合は、家賃との比較がしやすくなるのではないだろうか。ここから現在の家賃の支払い総額とローンの総額との差額が手元に残り、さらに住宅ローン控除で所得税が減る分も想定で足し算して、どれくらいの資産が10年後や20年後に残るかを計算してみると良いのではないだろうか。

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ただし、購入する不動産の価値は減価するものとして計算しておいた方が良い。金利上昇局面では、必ず不動産価格は下落する。大幅な利回りの低下が見込まれるのであれば、今乗っているプレミアムの大半は剥落するだろう。そうしたバブル崩壊的な値崩れもあると思うので、それが起きても今の家賃との差額や生活面でのメリットや税金を減らせることで利益がプラスになると思えるのであれば良いのではと思った。

元金均等払いで支払った方が支払い利息は低くなるので、その検証は別途しようと思うけど、大体の感じがつかめれば良いので、まずは極端に差が出やすい元利均等払いでためしてみた。

エクセルで計算したい人は以下のサイトの方法を使うと元利均等も元金均等も両方試すことができる。

元金均等返済の金利分計算方法−ISPMT関数:Excel(エクセル)の関数・数式の使い方-財務

この住宅を買うバクチで勝つかどうかは、インフレ率の跳ね上がりがどこでどれくらい来ると考えるかによって結構違うはず。インフレ率が上がると、どこかで長期金利もそれなりに上げないといけなくなるので、不動産価格はインフレ率につれて上がるけど金利も上がるという局面があると思う。ただ収益性は悪くなるので不動産自体の投資価値は下がる。ということの綱引きの結果として、家賃も上昇し始める悪性インフレに発展すると、かなりこのバクチは価値が出てくる。

インフレ率の予測に使えるなと思うのは、個別の価格の推移だと思う。

不動産であれば、こういうのがあるけど。

神奈川県の土地価格相場・地価公示価格ランキング・坪単価

特に、注目しているのは引っ越し費用の価格推移。サカイ引越センターが決算説明会資料で、引っ越しの平均単価を出しているのでこれはかなり良い指標だなと思っています。最新のデータだと、平均単価:106,631円(前年同期⽐+10.7%)になっていて、局所的だけどインフレ率10.7%になっている。

http://www.hikkoshi-sakai.co.jp/ir/pdf/meeting/20171115.pdf

運輸業のインフレが全体に及ぼす影響はそんなに大きくないと思うけど、これがどういう経路をたどって全体に波及しそうかは以下の表を見ると何となくわかりそうな気がする。

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 データが示す日本の賃金動向、消費や物価への影響に注目 - Bloomberg

 非製造業で、かつ、その産業なしでは成立しないクリティカルパスっぽい仕事についてはもう人件費の上昇を価格に転嫁しても問題なくなってきている感じが次第に出てきそう。この傾向が、製造業にも波及しはじめるとかなりヤバイ感じのインフレ傾向になると思う。

賃金上昇は最初は一律ではなくてまばらに来ると思うので、全体としてのインフレ率だけ見ているとまだまだインフレは遠いような印象が終始していると思う。特に代替品があったりパスが複線化している産業ではそれが起きないので、気づくのが遅れる可能性があると思う。

導火線に火がついてしまうと、積みあがっている銀行預金中の固定で縛られている定期預金部分がすさまじい速度で毀損し始めるので、そのお金が途中解約されて移動し始めると思う。これが結構地味にヤバイ感じがしている。その行き先に偏りがあると、異常な価格が現出するので、シグナルが強いものとして認識されて、それきっかけでインフレ認識が伝播し始めると思う・・・。