ブレグジットで世界経済が終るかどうかを国富のバラスシートから予測すると、結論として、イギリスは最強に賢明な判断をしていることになる。
以下は、ぼくが以前に計算した国富にインフレ/デフレが50%進んだとしてという仮定で*1ストレスをかけた場合の国富の純資産にかかってくる得失をグラフ化したものだ。イギリスは世界で一番バランスシートがわけわからないぐらい金融化されている国なので、どちらにしろすさまじいインパクトがある。イメージで言うと自己資本比率がすごい低い銀行みたいな国の資産構成になっている。だから、通貨政策を踏み間違うことが、何よりも世界経済に対するインパクトがでかすぎて、リーマン級を超える最後の審判クラスの大暴落がくることは間違いない。そんなイギリスでブレグジットが起きたから死んだと思ったけど、そうでもないような気がするグラフなのだ。
まず、このグラフが意味しているのは、イギリスにとって「デフレは死」であることだ。もう一度言うけど、イギリスにとって「デフレは死」だ。しかし、インフレ基調であれば、高い負債比率が幸いして、負債を帳消しにしながら踏み倒し収益を徴収し続けて純資産の上昇を得ることができる。これはバランスシートの仕組みの問題なので、生産性が一切向上しなくても、イギリス人がイノベーティブだろうが、そうでもなくてボーっとしていようが関係ない。
それでは、イギリスの生命線インフレ率はどうであったか。
順調にデフレによる死の一歩手前に近づいていた。ここで何としてもインフレ基調に戻すしかない。ここでブレグジットが起きると、どうなったのか。
ポンドが安くなった・・・。たぶん、これは「ブレグジットノミクス」なのだ。まったくイギリス国民は意識していない可能性があるけど。結果として、デフレ輸出競争になってしまった・・・。
イギリスが首尾よく、ほどほどのインフレを手にした時、国富のバランスシート上では純資産の増加を観測できる。そして、イギリスでは経済基盤が盤石になった感が蔓延するだろう。実際には危機の水準が高くなっただけで、崩壊のときの水脈がコントロール不能になっていくだけだが。
問題は日本がどうなるかだ。日本も同時に円安を達成して、ほどほどのインフレ基調に乗れるだろうか。その時、アメリカとユーロは自国通貨の高どまりを受け入れられるだろうか・・・。あるいは、日本の生き方としてデフレ耐性をつけるという方法がある。現金保有比率をある程度高めると、デフレが逆にバランスシート上の利益になる地点がある。(具体的に言うと、2013年時点のバランスシートでは500兆円程度の固定資産を現金化。今はもう少し現金化が進んでいるかも。)そこを目指すなら円高・デフレでも問題が全くなくなる。
*1:何で50%かということに特に理由はない。影響を想像した時に今はあり得ないとされている世界を考えた方が良いからだろうと思っている・・・。