合理的なオプション戦略について

 今まで、オプション戦略について考えようとしても良い戦略があると思えなくて取り組んでこなかった。けれど、オプションにもやりようによっては非合理的な価格の歪みを取っていく方法があるようなので今さらだけど、勉強していきたい・・・。また、ぼくは悲観的な性格なので、今後の金融市場については極めて懐疑的だ。信じがたい暴落の日が最後の審判的に訪れるような気がして仕方がないので、この戦略をとれるのは精神的に安心できる。

 オプション戦略の基本的な考え方は以下に要諦がまとまっている。けど、これはタレブが大嫌いな危ない戦略ですね・・・。

ひたすらバイ・アンド・ホールドという選択肢もあると思いますが。

オプションを適切に取り入れることで、投資の選択肢が増え柔軟な投資方法が選べる、ボラティリティを下げる、アセットアロケーションの分散、下げ相場や上げ相場に関係なくキャッシュフローがプラスになるなどの利点があります。
 
また、カバード・コール(covered call)やキャッシュ・セキュアード・プット(cash secured put)はバイ・アンド・ホールドと相性が良いオプションの戦略であることも重要です。
 
ちなみに、「オプションの売り」の特に有利な点として
 
【タイム・ディケイを味方につける】
タイム・ディケイによるオプション価格の減価が有利に働く
 
キャッシュ・フローがプラスになる】
キャッシュ・フローがプラスになる、(評価額はマイナスの可能性はあるが)よって柔軟な投資戦略が可能になる。(プラスになったキャッシュ・現金で価格が下がっている他の資産への追加投資などが可能になる。)
 
インプライド・ボラティリティは過大評価される傾向がある】
インプライド・ボラティリティは過大評価される傾向がある→オプションのプレミアムは過大評価される傾向があるということになります。過大評価されたプレミアムを売り、割安になったところで買い戻すことで収益が上がります。

 

sites.google.com

  これにたまに訪れる相場の大暴騰と大暴落対応を付け加えると完璧な対応になるんだろうか・・・。

 株価の動きは以下のように、正規分布よりもほぼ真ん中の動きの少ないところが高くなるように値動きが集中し、正規分布よりも端っこが高い(ファットテール)ことが知られている。真ん中のほぼ動かないところではオプションの「売り」で対応可能だ。

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Fat Tails and Tall Heads | RCM's Attain Alternatives Blog から

 そして、端っこのファットテールに賭けるのが「ブラックスワン」で名を馳せたナシーム・タレブだ。ファットテールで起きる大変動にはオプションの「買い」で対応可能だ。

ちなみに、タレブ氏はオプションの買を推奨しています。
まあ、オプションのロングが専門のヘッジファンドを運用しているので当然だと思いますが。
私はカバードコールのオプションの売りがメインなので、著者のタレブ氏とは投資スタンスが正反対です。
ただ、「確率は低いが稀に起こる期待値が高い賭けに参加する」というのは合理的で有効な戦略だと思います。

タレブ氏のオプションロングはブラックスワン待ちのロングであり、単純に株価が上がると思うというロングではありません。

本書はタレブ氏自身が自分の戦略を「ボラティリティ・ロング」という表現で紹介しています。ちなみに、素人が実践するには精神的にも技術的にも難しいと思います。
以下に、この本で面白い・参考になった箇所を抜粋します。
(抜粋P.72)弱気派は急騰でハエみたいにバタバタ落ち、強気派は音楽が止まると絵に描いた餅の利益が消えて皆殺しだ。でも、一つだけ例外があった。オプションを取引をしていた連中の一部(オプション買い派と呼んでいた)は目覚しい持久力を発揮していた。私もそうなりたいと思った。
オプションプレミアムの需要な要素にボラティリティーがあります。タレブ氏のオプション買いは、ブラックスワンが現れたときに大勝するポジションなのでしょう。
(抜粋P.84)私が仕事を始めたころ、雑音に耳を澄ませている連中を見るのは我慢がならなかった。そうやって情報を手に入れようとしても、統計的に有意ではなく、だから意味のある結論は出せないからだ。
まあ、ニュースを追ったところでそのニュースから統計的に有意義な要素を抽出するのは不可能でしょう。相場を予想するのが不可能なのと同じことで。
(抜粋P.134)私がずっと市場でやってきた仕事は、「歪みに賭ける」と言うのが一番合っている。つまり、まれな事象で賭けるのだ。稀な事象はめったに起きないけれど、その分、実際に起きればとても儲かる。(抜粋P.135)オプションを買えば90%の割合で損をするという統計は、残る10%のときに平均でいくら儲かるかを考えないと、明らかに意味がない。オプションを買ってイン・ザ・マネーで終わった場合、賭け金が50倍になるのなら、オプションを買うのは貧乏人じゃなくて大金持ちへの近道だと言っていいだろう。

マッタリ バリュー投資とカバード・コール: まぐれ を読みました オプションのロング戦略、ボラティリティ・ロング戦略について

 この二つのオプション戦略を融合させたと思しきものが以下だ。要は、普段は正規分布より飛びぬけて出ている価格の変化のないゾーンをオプションを「売り」でとる。そして、緊急事態が発生するまでファットテール側の屑オプションを「買い」続ける、どちらにしろファットテール側はタダ同然の値段でオプションが売られているので、買っても大した値段ではない。

 ・ベガの性質

みなさんに直感的に理解していただきたいので、極端なケースで確認してみましょう。
IVが23%のケースと、IVが70%近辺のケースです。
IV70%というのはパニック時のIVですよね。
下記の表の左側が23%、右側が70%のケースです。
それぞれのケースのプレミアムとベガを表にしました。

6500 価格1 ベガ0.2 価格52 ベガ2.0
7000 価格3 ベガ0.4 価格88 ベガ3.0
7500 価格8 ベガ1.2 価格150 ベガ4.2
8000 価格29 ベガ3.2 価格255 ベガ5.4
8500 価格142 ベガ6.1 価格435 ベガ6.1
9000 価格13 ベガ2.4 価格239 ベガ5.7
9500 価格1 ベガ0.2 価格125 ベガ4.5
10000 価格0 ベガ0 価格61 ベガ3.1
10500 価格0 ベガ0 価格29 ベガ1.9

相場水準は8500円に固定しています。 プレミアムは、下はOTMプット、上はOTMコール、 8500円はコールとプットで同じプレミアムです。

IVは下記のものを使いました。

6500 57.64% 105.44%
7000 47.71% 95.51%
7500 38.46% 86.26%
8000 29.81% 77.61%
8500 23.04% 70.84%
9000 22.54% 70.34%
9500 23.34% 71.14%
10000 24.11% 71.91%
10500 24.83% 72.63%

まず、皆さんご存知のように、ベガはATMで最大で離れて行くのにしたがって小さくなります。
ここで、面白いのですが、IVが上昇してもATMのベガは変化しません。 
極端にIVが上昇しても6.1円のままですね。 一方OTMのベガは上昇します。 
当然ATMのベガを超えることはないのですが、結構7500Pなんかもベガ4.2円ですから ATMに負けないくらいの力を発揮しだすわけです。

屑プットを持っていて、相場大暴落時にみるみるポジションのベガが大きくなっていくのを 体験された方も多いと思います。 一つには、当然相場がストライクに近づいていくので ベガが上昇するというのもあるのですが、もう一つの強力な理由が結構ファーアウトのオプションでさえ、 それなりのベガを持ってしまうということなんですね。

兼元為太郎のFX・先物・オプショントレード報告: 通称タレブさん発言まとめ 4 of 5

 つまり、株式を長期でバイ&ホールドするのも、オプションを売り持ちするのも同じことでほぼ確実に起きる「予測不可能な暴騰と暴落」を戦略上の前提として組み込むというものだ。

 普通、人は「予測可能な何か」を探すので、「予測不可能でしかも確実なもの」を探さないので、この戦略が成立するのだと思う。

 

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