「日本政府が財政破綻するのではないか」という懸念を見聞きするたびに、個人投資家としてのぼくが震え上がるので、きちんと検証できるデータが欲しいです。
しかし、そういうものが見当たらなかったので困り果てて、エクセルで作りました。というか、財務省はこういったシミュレーションを公表したらいいのではないだろうか。
このデータは、日本政府の財政再建または破綻シナリオのシミュレーションを行う簡易なエクセルシートです。
下記のように、黒枠に想定するお好みの数値を入れてください。グラフが変化して、2038年までの日本政府(一般政府)の債務対GDP比率が推計されます。
・日本政府債務のドーマー条件検証(簡易)
https://www.evernote.com/shard/s15/sh/71d99abc-398e-442c-a2a3-a4509fed7ca2/b51b5899279ff28c70e3e817b5ef5928
計算式を保護しているデータと保護がないデータがあります。
編集したい方向けに保護しているデータでも保護シートを解除するパスワードがデータ内に書いてあります。
ドーマー条件とは、「名目経済成長率が名目公債利子率を上回れば財政赤字は維持可能であるという内容の定理」*1です。おおむね、この想定が当てはまりそうなことが、このデータは伺えますが、開放経済下でもドーマー条件があてはまり金融抑圧が成功するかどうかは、分らないという説にも注意が必要です。*2
また、このデータには参考までに以下のようなグラフもつけています。
このように、ハイパーインフレが起きた場合に実は劇的に財政が改善する見通しであることがわかります。
政策担当者にとってハイパーインフレは追い詰められたときに、選びたくなるインセンティブが実は結構ある、ということがここから読み取れます。
私たち、個人からしたら大変なことですが・・・。政策担当者がいかにしてインフレを選択するのか、という心の歴史を追うというテーマがありそう。
また、ハイパーインフレ=財政破綻ではない、ということもわかります。戦後のハイパーインフレ期には、インフレにより銀行預金流出が激しくなり、結果的に預金封鎖が行われましたが、インフレや預金封鎖によって資産家や権力者が著しく弱体化することで、財産税徴収による借入の返済を一気呵成にできたのではないか、つまり結果的に財政破綻というよりは金持ち破綻だったのでは、などということが想像できて楽しい。
ほかにも、デフレを選ぶと基本的には苦しいとか、一瞬数値が改善するけど、結果的に悪くなる野口悠紀雄さんシナリオとか、色々なシナリオを一枚で確認できます。
今後の参考までにご活用ください。
・その他の留意事項
このデータでシミュレーションできるのは財政悪化がどの条件で進み、どの条件で進まないかだけです。
その他の要素や関係を追加したいという方は大歓迎です。
改造したデータを公表するのも全く問題ありません。その際に、ご一報いただく必要もありません。
ただ、もし公開したことを、お知らせいただければこのブログでも、精度が高まった予測を報告していきたいと思います。
このデータで参照している数値は下記となります。
※1 世界経済のネタ帳 日本のGDP http://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html
※2 世界経済のネタ帳 政府総債務残高の推移 http://ecodb.net/country/JP/imf_ggxwd.html
※3 財務省 債務管理リポート2015 −国の債務管理と公的債務の現状− 補 財政状況と国債残高 http://www.mof.go.jp/jgbs/publication/debt_management_report/2015/saimu2015-3-ho.pdf
またこのデータには、何か計算方法で勘違いしていることがあるかもしれません・・・。
そのため、入手可能なデータから構成された、超簡易なシミュレーションに過ぎないことに留意して、本データに全面的に依拠して判断を下されることはお控えいただき、ご自身の判断で行動されるようお願いいたします。