「成功する言語学習」について、「天才が語る サヴァン、アスペルガー、共感覚の世界」から

「天才が語る サヴァンアスペルガー共感覚の世界」ダニエル・タメット著 講談社
p.132〜 から、第二言語学習の方法について抜き書き。

 


 「成功する言語学習」

 新しい言語を学ぶためには、大きく分けて三つの段階がある。
  
  ・新しい音を獲得する<音韻>
  ・新しい言葉、その意味、言葉を形成する法則を学ぶ<語形>
  ・正しい文法にしたがって、語句や文章を作る方法を知る<統語> 

 だ。 
 
「言語を知ることは、これまで話したことのない新しい文を作り、これまで聞いたことのない文を理解できるということである」(フロムキンの言語学緒方孝文監修、トムソンラーニング)
 

  <音韻>の獲得
  ・特定の音が何度か繰り返される文章をつくり音読する。
  ・習いたい言語の歌をよく聴き、その歌詞で歌う練習をする。言語のリズムを真似て、よい発音ができる。


  <語形>の獲得
  ・擬音語をまず学ぶ。
  ・音象徴(特定の音を持つ単語が特殊な意味と関係があるとする)として知られる擬音が関係する言葉を知れば、新しい単語が覚えやすくなる。
   たとえば、「gl」という音は光と関係が深い、
    「glow(燃えるように光る)」
    「glimmer(ちらちらと光る)」
    「glitter(きらきらと輝く)」
    「glint(きらりと光る)」
    「gleam(かすに光る)」
  ・言葉の関連性を見つける。自動連想でつなげる。
    「pen」「pencil」「paint」「paper」という単語はみんな、「pe」「pa」で始まっていて、身近なもの一緒に使われるものである。
  ・関連語で覚えていくと、組み合わせで使う言葉を覚えられる。
    「bread and buuter」「cat and dog」
  ・合成語は、一石二鳥の言葉。
  ・接辞、新しい意味を作るために単語の前や後ろに加える要素を知っていると、語彙が豊かになる。
    フランス語では、後ろにierをつけると、果物の木を表せるようになる。
  ・特定の言葉が文脈によって変化することを知る。
    文脈によって、「work」の意味が変わるなど。


  <統語>の獲得
  ・習得する言語で書かれた本を読む。役に立つ単語のつながりをたくさん覚える。そして、それぞれの文章を抜き出して、単語をつなげ変えて新しい文をつくる。
   本を読んで文章に接すれば接するほど、単語の組み合わせは増えていき、文法的なパターンが身につく。そうすれば、動詞活用表や文法の規則を知らなくても、文法通りの正しい文章をつくれるようになる。こうしたやり方で言語を学べば、文脈から離れて単語をひとつひとつ覚えるときに味わう苦労から解放される。  
  語句と文章をまるごと覚え、そこに含まれる多様な語の組み合わせを覚えていくというのは、母語を習得したやり方と同じなので、上手に覚えられる。文法を勉強したり単語帳を作ったりして母語を覚えた子供などひとりもいないのだから。第二言語を学ぶときに単語をひとつひとつ覚えるのは、不自然きわまりないことだ。あまりにも断片的すぎる。ぼくたちが言語を話すことを習得するのは、本で読んだりカセットで聞いたりした語句を再生するためではなく、自分の考えや感情、経験、発想を伝えるためなのだ。そのためには、複雑で巧みな文章が必要になる。