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「戦争の経済学」 内戦のプロセスなど

戦争の経済学は、コンパクトにまとまった経済学の教科書として最適で、話題としてもものすごく興味深い。

低開発国の紛争発生原因。

一つは貧困。
多くの紛争が貧困国で起きる。

p.270
紛争リスク要因として最も強力なものは、その国のGDPの相当部分が原材料(鉱物、宝石、石油などの天然資源)の輸出からきているという条件だ。具体的には、現在料依存度がGDPの26%に達すると、紛争リスクは最大になる。このレベルの依存度だと、紛争リスクは(典型的な低開発国では)14-23%になる。

 1 天然資源が反乱軍の資金源になる
 2 天然資源が国の特定地域に集中している場合には、不満分子はその部分だけ分離独立するのが有効で儲かると思いがち。
 3 天然資源が不平等をつくりだす。
 4 課税ではなく天然資源に頼る政府は、きちんとした行政組織をつくったり、市民の要望にこたえるインセンティブがない。
 5 交易条件の変化からくるショックに弱い。ショックに苦しむ集団の不満が紛争につながる
 6 近隣国が天然資源を収奪しようとして内戦をあおる。

強欲も要因になる。
 反乱軍が儲けたいと思うと紛争は長引く。

内戦が強欲になるインセンティブを提供する。内戦中の人生は予想がつきづらいので、短期的な考え方をするようになる。
いつもなら評判を落とす行動に出ない人が、未来がはっきりしないと信用を保つインセンティブもなくなる。

 貧しい人々が単に自分の儲けためにジェノサイドに便乗するようになる。

p.274
1民族の支配も要因になる。

 最大の民族集団が人口の45-90%を構成しているとき、紛争が起こる確率は28%になる。比較的均質な民族構成(主要な民族が人口の9割以下)の国で紛争の可能性が高くなるのは、支配的な民族が少数民族からリソースを奪うことで利益を得たりするからだ。でも、ほぼ完全に優位だと紛争の可能性は減る。少数民族があまりに少なくて、それを収奪したところで、リソース収奪行動の費用のほうが大きなってしまうからだ。

p.275
格差
 
 不平等には2種類ある。
 垂直格差と水平格差の二種類。
 垂直格差は同じ集団内部での格差であまり気にならない。紛争の原因になるのは、水平格差の方。
 民族、宗教、政治、宗教集団間にある格差は紛争発生の危険を増す。

テロリストの利得

 テロリストは抑圧的な政府の元で生まれる。
 貧困とは関係がなく、所得が高い国や、所得の高い階層から生まれる。

 抗議行動が抑圧されると、彼の取れるメディアに取り上げもらう行動は、「自爆テロ」「ハイジャック」「何もしない」などになる。もし、充分に過激派内での連帯性を高めていて、主体性の犠牲も厭わないほどになっていれば、自分の生命のコストは気にならないので、「自爆テロ」が合理的な抗議行動として選択される。

 自爆テロは費用も低く、効果が高い行動だ。
 だから、集団の利益を最大化する行動として評価される。