Jトラストのビジネスモデル マーケティング費用を払わないというイノベーション

 多くの企業にとってコスト削減は、利益ねん出の手段として重要視されているだろう。だけど、Jトラストほどすごい戦略はそうはないのではないか。顧客獲得費用は支払い済みの、後は回収するだけの高利率債券を手に入れるという手法だ。
 「私が描いた武富士、レナウン、振興銀行の儲け方」にJトラストのビジネスの特徴が藤澤氏自身のことばで描かれている。クレディアと三和ファイナンスの買収の経緯について「消費者ローン事業はいったん貸し付けを止めると、利息と元金の回収でものすごく資金が戻ってくるんですよ。・・・債権残高の5%が戻ってきますので、月50億円のキャッシュイン(資金流入)になる。その一方で、18%以下の金利で貸し出せる客はそれほど多くない。この2社のローン債権を購入したことで、キャッシュポジションはどんどん高まりました。」と語っている。

 「貸付をしなければ儲かる」このモデルは、ほぼ普遍の真理だと言っていいのではないか。このイノベーションは、日本以外でも通用する可能性がある。
 昨年の9月に消費者金融の競合も含めて分析したJトラストのビジネス環境が下記だが、マーケティング費用が常にかかるのが通常の消費者金融のつらいところだ。だから、Jトラストはマーケティングの課題は解決しない方が良い、というのが今のぼくの見解だ。
【投資】Jトラストについて20130930
 これについては、藤澤氏自身も先の「私が描いた武富士、レナウン、振興銀行の儲け方」で、「貸し倒れコストや販管費、広告宣伝費を考えると、消費者ローン事業の利益は頑張っても4〜5%程度。過払いリスクを引きずったままでは、たぶん利益は出ないでしょう。バックに銀行がいればともかく、独立系として資金調達もままならない状況では、消費者ローンの残高を増やしていくことは不可能です。」と語っている。

 ところで、この記事で興味深いのは、レナウンへの投資も手掛けていたという事実だ。しかも、うまくいかなかったとのこと。レナウンとか、KCカードのようなマーケティングが大事なビジネスモデルだと、藤澤氏が発見した収益のイノベーションが発揮されないのかもしれない。

 ところで、それなりに再生してきているアドアーズについては、GF投資ファンド組合という株主がいて謎な感じだ。 

 GF投資ファンドというのは、株式会社ガイアと出資者が重複していて、しかも、このリリースで示されているようにJトラストの子会社のニュージャパンホールディングスから、GF投資ファンドに貸付がなされていてJトラストの「緊密な者」であると認識されているようであります。
 株式会社ガイアはパチンコ店経営の会社であり、業界第三位の実力者であり、2011年に代表が逮捕されていたりする。
 つまりGF投資ファンドに対してはガイアは出資者でJトラストは大きな貸し手らしく、これは何か今後経営に関係してくるのかな? たまたま元々アドアーズの株主がGFを通じたガイアだっただけ、という関係性なのかも知れないが。

 ガイアの収益についての記事には、こんなのもあります。