Jトラストによる1000億円規模の平成26年7月に実施されたライツオファリングについては、Jトラストの社長自身による500億円近い自己資金の投入も話題になった。
しかし、この度公表された有価証券報告書を読むと、結果としてこの一年間の間に藤澤社長自身の持ち株比率は平成26年3月末時点で大きく低下(平成25年3月末の47.57%から平成26年3月末の26.52%へ前年比で約56%低下)しており、実質的には、藤澤社長は自己資金を大きく賭けているとは言い難い状況であることが明らかになっている。たぶん100億円くらいの賭けですかね。
・Jトラスト有価証券報告書
http://www.jt-corp.co.jp/ir/ir_data_01.php
上記のデータから引用すると、
- 大株主の状況 平成26年3月31日時点
- 大株主の状況 平成25年3月31日時点
上記を比較すると、藤澤社長の持ち株比率は、25年3月末の47.57%から、26年3月末の26.52%プラス所有するNLHD5.07%を足した31.59%へ低下したと言えるでしょう。低下した持ち株比率は-15.98%となります。
一方で、持ち株比率が増加したのは、TAIYO FUNDの8.04%、JPモルガンの3.2%、ゴールドマンサックスの2.47%、TAIYO HANEI FUNDの2.01%です。これら合計で、13.71%となります。
つまり、時期はズレがあるかも知れないものの、藤澤社長の保有比率低下=海外投資ファンド買い増し分である可能性が高いです。
これは、25年7月11日に発表された「筆頭株主による当社新株予約権行使のための資金調達及び行使意向についてのお知らせ」に記載された「(1)本日、藤澤氏は、保有する当社株式の一部を立会外取引で売却することにより、同氏が保有する全ての本新株予約権の行使に必要な資金を確保した」とされていた「一部」というのは、「同氏が保有する全ての新株予約権(15,137,372個 7月11日現在)」という表現から3000万株のうちの「約半分」を売ったということだったのではないかということでもある。*1
ライツ行使において藤澤氏自身が借入金を抱えているのかと不安だったのですが、これで単純に売却しただけだったということが分かり、ある意味安心ですね。
*1:ところが、7月18日の「「筆頭株主による新株予約権の行使状況に関するお知らせ」では、27,137,372個 約488億円の権利を行使したことになっており、ややこしい。恐らく新株予約権のみを購入して行使した数を増加させたのではないかと考えられる。