日本の政府純資産の推移 2012年度時点で債務超過  調査経過(2) 

内閣府の「一般政府 期末貸借対照表勘定」データから政府部門の純資産推移を確認しています。あまり知られていないことかもしれませんが、2011年から純資産がマイナス、いわゆる債務超過になる状態が続いています。ただし、政府部門の資産とは何かということがありますので、イコールすぐに破綻とは言えないとは思います。*1確かなのは、トレンドとして債務が増えると同時に資産も減っている、ということですね。当たり前ですが。

内閣府 一般政府 期末貸借対照表勘定



1994年に、397兆円の一般政府部門の純資産がありましたが、2012年には−38兆円まで純資産が落ち込んでいます。
差引で、430兆円近い金額が何かに投下されています。
これがどこに移転しているのかが気になります。国民経済計算でもう少し調査をしてみます。


ちなみに、
平成26年度予算の編成等に関する建議(平成25年11月29日)の資料では明治期と国債/GDP比率を比較したグラフが挙げられています。これだけ見ていると、素直に危険なんじゃないかな、と思う。
ちなみに、かつてバブル期の株式時価総額/GDP比率は、1.47倍、政府+民間の債務比率は1990年に1.76倍になった。
つまり、かつてのレバレッジを別の形で再現しているわけです・・・。



<調査進捗>
論文やデータの取得元の特定がほぼ完了しました。
実際の取得やデータの組み合わせは今後行います。

その後に、

 1)日本のGDP/公債比率は持続的でない可能性があるのか・・・。
  よく言われている日本国内の個人資産や企業資産が受け皿となる、という通説を数値で検証します。
  また対外純資産がある限りは大丈夫、という通説も本当なのかを検証します。
  そして、数年以内に来ると言われている国債の海外投資家への販売がいつ頃になりそうかを調査します。
  資金の還流がどうなっているのかの推定図を描き流れの変化がありそうかを検討します。

  国富の総額とGDP比を作っても良いかもしれない。
  各国の総額との比較も良いかもしれない。

 2)1930年代の個人資産や企業資産の金額と比較して持続可能性があるのか。

 3)1930年代のGDPに対する財政の貢献度と比較して現在の政策をどう考えるのか。あまりにもインパクトが低すぎないか。

 4)1930年代と同じインパクトを財政で出そうとすると、どうなるのか。

 5)その場合、インフレはどれぐらい進行するのか。また現在のデフレギャップはどれくらいなのか。失業率が低くデフレギャップが少ないので、景気刺激が強すぎて大幅インフレになる可能性はないのか。1930年代の政策転換点で、どれくらいの数量の景気刺激策が投下されて、その乗数はいくらだったのか。

 6)今後の日本の財政政策はどちらに振れるのか。インフレ率を抑えながら景気刺激を続けられるのか。


の疑問を検討していきたいと考えています。


さらに本来の目的である、

 長期の経済指標を収集分析し、日本経済の現状と今後の発展の可能性を考える。

 それによって、日本が今後投資適格な地域であるかを判断する。

を行います。


 時期を三つに分けて分析を行う。

・インフレ率 戦前の株価 国債利回り
 を比較する。期間中の利益を一覧表にする。

また、企業収益性と、労働分配率も分析する。

 また、
 http://finacialhack.hatenablog.com/entry/2013/11/30/225532
 と同様のGDP比較を各時代で行う。

 世界各国のGDP成長率と株価リターンの相関
も素晴らしい内容。
 上記の場合、棒グラフで比較しているが、散布図で比較するなどすると、より相関しているかが見られるのではないかと思う。さらに、係数算出とか検定とかしたらより良いような気もする。

これと、各国の時価総額/GDP比率のデータと

世界各国の浮動株比率(推計値)

とを組み合わせるとさらに良いかも。

 現状の予測では、
 1) 日本の企業は国内に設備投資を行う意志がない 海外投資が伸びている
 2) 日本株式市場は、GDPの成長とリンクしなくなる可能性がある
 3) GNIの上昇を政府が意図するのであれば、国内設備投資額の伸びがないことを気にする必要はない
 4) 法人税率の低下が意図された場合に、個人消費の低下がダメージとなる企業の株式を買うべきでない
  つまり日本企業はグローバル企業としての行動をとっているところとそうでない企業で二極化する可能性がある
   またドメスティックな企業でも消費者の力が弱まることに合わせてビジネスモデルを変えていく企業は成長可能性がある

 などなどが結論として予測されます。

*1:年金債務を反映するともっと、債務超過額は大きくなる可能性がある。http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je01/wp-je01-3-2-01z.html http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je01/wp-je01-00302.html