投資を今後も日本で行うことが正しいのか、疑問を感じているため下記の調査を行うことにしました。
【調査概要】
・調査名
長期の経済指標から日本経済と日本株式市場の分析を行い、日本が投資適格地域であるかを判断する
・目的
長期の経済指標を収集分析し、日本経済の現状と今後の発展の可能性を考えます。
それによって、日本が今後投資適格な地域であるかを判断します。
また、同じフレームを、新興国やアメリカに適用し、最も投資適格な地域を抽出できるようにします。
・副次的な目的
上記の分析を通じて、経済の変動が株式市場に与える影響を観察します。
そして、マクロ経済学のフレーム(財市場や資産市場、労働市場が均衡するはず)と比較し、それが現実社会で機能しているのかを検証します。
それによって、観測された歪みがあれば、その歪みが与える影響範囲を検討します。
特に、株式や債券の価格の歪みと関係があるかを検討します。望ましいのは、株式や債券の価格の歪みの根拠を特定することです。
・調査の意義
調査の発端となった疑念は、以下のようなものです。
(1)バフェットが「インフレが株式投資家を搾取する仕組み」(May,1977,ウォーレン・バフェット)で示したようなアメリカの株式市場に対する長期的な見通しが日本株式市場に対して与えられていないのではないか。例えばアメリカの企業の資本利益率は12%で推移していてインフレの影響によって変動しない、そのためインフレが長期化するとアメリカ企業に深刻な影響がある、あるいは、利子率によって株価に大きな影響がある、などの分析が日本に対して行われているのか。さらに、日本市場とアメリカ市場で起きていることの違いを調べ分析している論考が少ないのではないか
(2)この分析がないことで、主にアメリカ市場での分析に基づいている「長期的には株式投資、特にインデックス投資のリスクは低い」という定説は、根拠が盤石ではないのではないか。
(3)もし調査の結果、上記の現象は日本では見られない、あるいはインフレによって株式市場のリターンが大きく損なわれているという傾向があるとしたら、株式投資家はアメリカ以外の市場では成功できないのではないか。
という疑念を検証したいと考えています。
また、もし日本市場でのバフェットが行ったような角度からの調査が少なければ、本調査は少しは意義があることになります。
【作業手順】
1・調査前情報収集
→現状知られている情報とその構造を分析し課題を抽出します。
課題が少なければ調査作業を圧縮できる見通しです。
課題が多すぎる場合は、報告を分割して各パーツ毎に調査と報告をまとめ直します。
2・調査作業
→各種資料からの情報を収集します。
3・収集データの理解
→2で回収したデータを組み合わせ作業仮説をつくります。
4・モデル化作業
→3で作業仮説としたデータでモデル化を試みます
5・検証作業
→4でモデル化したデータを他国、他地域のデータと比較し汎用性があるモデルであるか、を検証します。
当面は、1〜3を中心に作業を行いモデル化については、私の能力範囲を超える可能性があるため、学習コストをかけるのか、協力を仰ぐかを仮説構築時点で検討します。
【当面の作業】
・1・調査前情報収集
◆ターゲットとなるデータ
[基本的なデータ]
物価(可能な限り長期)
長期金利
国内総生産(GDP)
株式市場時価総額
[詳細なデータ]
企業収益(経常利益、当期利益)
自己資本比率(銀行貸出残高/GDP比)
企業経費人件費率
個人資産総額
企業資産総額
政府債務(累積)
政府資産(累積)
経常収支
貿易収支
為替
他必要となるデータが出てきた場合は随時追加。
◆論文データ検索
CiNiiで検索 「株式市場 GDP」
「株式市場および実質GDPの資金循環への影響」http://ci.nii.ac.jp/naid/40019910377
「マーケットを読む 株式市場 GDPと株式市場の関係」http://ci.nii.ac.jp/naid/40019610648
「利潤率,株価および利子率(上)」http://ci.nii.ac.jp/naid/110004033982
「アメリカ経済がアジア・太平洋地域に与える影響 : それは重要であるか?」http://ci.nii.ac.jp/naid/110002963206
CiNiiで検索 「株式 GDP」
「バリュエーションを考慮した株式リターンの長期推計--GDP・PBRモデルによる株式リターン推計の試み (特集 株式の期待リターン)」http://ci.nii.ac.jp/naid/40005835363
CiNiiで検索 「物価 長期」
「日本の物価変動;1620-1984 : 景気循環の長期波動を求めて」 http://ci.nii.ac.jp/naid/110000514343
「歴史統計から見たデフレ(経済統計)」http://ci.nii.ac.jp/naid/110004624526
「実質GDP,通貨残高,物価の長期的関係--共和分検定の批判的再検討」 http://ci.nii.ac.jp/naid/40004439922
「物価と消費の長期変動 (特集 デフレと家計)」 http://ci.nii.ac.jp/naid/120001893405
「貨幣の増大と長期的物価騰貴率 (世界的インフレ-ションの分析)」http://ci.nii.ac.jp/naid/40000286970
CiNiiで検索 「戦前 物価」
「景気循環史からみた世界三大不況」 http://ci.nii.ac.jp/naid/110004499877
「戦前の日本における貨幣,所得および物価の関係 : 統計的因果関係テストの応用」 http://ci.nii.ac.jp/naid/110007147393
「戦前日本における物価下落の時系列的分析」http://ci.nii.ac.jp/naid/40003634268
「戦前戦後の購買力平価と能率賃銀平価の推移」http://ci.nii.ac.jp/naid/40000285369
CiNiiで検索 「デフレ 戦前」
「有沢・金森論争をこう見る・デフレ政策に戦前戦後の相違--景気はどう変るか(インタビュー)-下-」http://ci.nii.ac.jp/naid/40000069813
◆インターネットで入手できる基礎的データ
金利・物価(日銀) http://www.stat-search.boj.or.jp/index.html
対外直接投資残高(ジェトロ) https://www.jetro.go.jp/world/japan/stats/fdi/
証券統計ポータルサイト http://shouken-toukei.jp/index.php
自己資本比率データ等
「我が国企業の低収益性等の制度的背景について」 http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/13061201.pdf
総資本営業利益率・参照元・財務省『法人企業統計』
「日米企業の資本構成比較」 自己資本比率の時系列データ http://www.waseda.jp/sanken/publication/sankei/file/14_3.pdf 参照元・日銀『国際比較統計』1988年版
◆図書館で入手できる基礎的データ
国立国会図書館 「科学技術・経済情報室」で、物価についての書籍
「議会官庁資料室」で、国際長期統計についての書籍
【当面の作業予定】
4/30-5/2まで、論文データおよび図書館で入手できる基礎データ収集
必要な資料の複写
5月中下旬 インターネットで収集できる基礎データ収集
6月-8月 データ確認、作業仮説構築
9月-12月 モデル構築相談
2015年1月-3月 報告書作成/報告先選定