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コーエーテクモホールディングスの決算から見える「投資ファンド+ゲーム開発」企業の実態

コーエーテクモホールディングス決算短信を読むと色々興味深い。
http://www.koeitecmo.co.jp/php/pdf/ird1_20130507.pdf

まず、固定資産の投資先がすごい。
 固定資産635億円
  ・投資有価証券 453億円(71.3%)
  ・無形固定資産  27億円( 4.2%)
  ・有形固定資産 142億円(22.3%)
 という、有価投資証券への偏りぶり。


また、

 ・2012年の投資有価証券 337億円
 ・2013年の投資有価証券 453億円
 ということで、その差額、116億円 34%増に達している。


これを損益計算書で見てみると、当期利益の外に記載される"その他の包括利益"欄の「その他有価証券差額金」で
 
 ・2012年のその他有価証券差額金 △20億円
 ・2013年のその他有価証券差額金  59億円

に増額している。つまり、今年は、実質、当期純利益+79億円の純資産の増加があったことになる。
(数字が合わないのは、売却したり新しく買い入れている有価証券があるため)


また、毎期23億円程度の、受取利息と配当金収入を得ている。
これを、337億円の投資元本にあてはめると、6.8%の利回りとなる。

そして、純資産額は下記のように増価している。

 ・2012年の純資産額 704億円 (1株BPS 811.56円)
 ・2013年の純資産額 816億円 (1株BPS 939.52円)
 
 1株BPSの増加率は15.7%となる。増加額は、127.96円となり、1株あたり当期純利益の65.23円の2倍弱となる。
 つまり、今期の帳簿上での利益の半分だけが、当期利益として公表されているということだ。


また研究開発への投資金額は控えめ(2012年で8億7700万円)。
配当性向は50%を目指している。経営方針は、基本的にはオーナー株主へのリターンを重視しており、急激な規模の拡大ではなく安全性の高い資産を積み上げることを重視しているように見える。そのため、買収などにより高いROAROEを取りに行くということはないように考えられるが、買収をしようと思えばいかようにでもできる手持ち資金がある。
また、豊富な投資有価証券があるため株式市場の動向次第では、純資産額がさらに増加する可能性がある。借入金もほとんどない。


また、セグメント別利益では下記のようになっており、ソーシャルゲーム関係の利益率が低い。
この部分に改善が図られた場合の収益性向上の余地があると言えなくもない。

 ・ゲームソフト事業    237億円1800万円 セグメント利益 62億2900万円
 ・オンライン・モバイル事業 54億8000万円 セグメント利益 5億4900万円


しかし、どこに投資しているのかが株主には開示されないため、どのようなリスクをどの国でとっているのかがさっぱり分からないことがこの企業特有のリスクだ。受け取り利息が多額に上るため、どうも債券投資をしているようなのだが、日本国債ではないのではないかと考えられる。受取利息が多すぎるので。

有価証券投資は、純資産の実に半分近くを投じて、今期の包括利益を二倍にし、セグメントとして見ると23億円のキャッシュの源となっている、利益の柱である。何に投資しているのかが分からないのがネックだが、コーエーテクモホールディングスは、ある意味では「投資ファンド+ゲーム開発」という特異な事業形態を持つ会社だと言えるだろう。