ベトナム経済の概況

注目を集める東南アジアの新興国投資だが、ベトナム投資では、まだ驚異的な成功が生み出されているわけではない。

下記が、VNインデックス*1の推移となる。(http://www.viet-kabu.com/data/chart.php?t=hcm)

2007年を頂点として、近年は横ばい傾向である。

また、為替の推移は下記のようになっている。 http://ja.exchange-rates.org/history/JPY/VND/G/M http://invest-bricsplus11.info/vet-kabu/vet-kabu-market/_3.html


為替は、長期的に低下傾向にありベトナム中央政府により貿易赤字対策として切り下げが行われている。

ベトナムは下記のように、毎年貿易収支が赤字となっている。 http://www.jetro.go.jp/world/gtir/2012/pdf/2012-vn.pdf

  • 2009 △ 12,853 (百万米ドル)
  • 2010 △ 12,610 (百万米ドル)
  • 2011  △ 9,844 (百万米ドル)

この貿易赤字が背景となり、通貨の低落傾向が止まらない。

その原因は、ベトナム経済が、付加価値の低い生産物を輸出し、機械などの付加価値の高い生産物を日本や米国から輸入しているからである。


・通貨は上昇に転じるか?
過剰投資とインフレの抑制のため、政府が利率を上昇させたため経済成長率は鈍化している。
一方では、日本企業など外資の投資は拡大傾向にある。
外資企業は長期投資に積極的と予測されるため、全体としてベトナムの生産性は向上し輸出製品の付加価値は向上することが予測される。
その場合、貿易黒字に転じるため、通貨の低落傾向は逆転するかもしれない。


・株式市場は反転するか?
短期的には中国経済や世界経済の失速により、経済成長が低下することが予測される。株価は低落する可能性があるが、アジア圏の経済が日本など外資の投資拡大により好循環に乗った場合は、成長率は改善が見込まれる。


・日本の労働市場は競争力を失い、新興国への送金源になるか?
短中期的には、日本の労働環境にはベトナムなど新興国への生産拠点の移転や日本への人材流入拡大・人材の質向上により賃金低下のインパクトを与えると予測される。また、日本から流出した資本や獲得された賃金は、現地に還流し資本の蓄積を促進することになるのではないだろうか。


・日本企業は、アジア諸国とのネットワーク化を図るべきか
日本企業は、ベトナムなどのアジア諸国からの労働力を積極的に受け入れ、彼らを通じて人脈を拡大し、ビジネスチャンスをつかむことが望ましいだろう。
アジア全体で、経済共生圏を作る、ネットワーク化を図るという発想を持った企業は優位に立ちやすいと考えられる。


リスクは、経済危機が世界的に波及することや、地域の政治リスクなどによって、投資した資産が暴落することである。
資金繰りが行き詰る可能性の低い企業、不動産などの固定資産への投資などでリスクを抑制しながら、成長可能性の大きい場所に大きく投資することが最善ではないかと考える。その場合、借入金などでリスクマネーを過剰に膨らませないことも大切だと考えられるだろう。

*1:ベトナムの代表的な株価指数ホーチミン証券取引所に上場するすべての銘柄の時価総額加重平均指数で、2000年7月28日を基準日とし、その日の時価総額を100として算出される。 http://www.vina-finance.com/words/VN%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9.html 余談だが、手軽なインデックス投資先として証券会社などで取り扱われている「FTSEベトナム指数」と呼ばれているものと、VNインデックスとは連動性があまりない。下記の数値と、VNインデックスを比較してもらいたい。かけ離れた値動きをしていることが見て取れる。 http://toyo.searchina.ne.jp/data/chart.cgi?span=90&asi=2&code=03087&market= これは、「FTSEベトナム指数」が採用している組み入れ方式のためではないかと推測している。次のページに銘柄の組み入れ方式が紹介されている。http://www.viet-kabu.com/news_d/otc/070524124900.html